2022.12.04

自動車の解体業を営むには許可が必要【使用済自動車解体業許可(自動車リサイクル法)】

使用済自動車の解体をするには、自動車リサイクル法に基づく解体業の許可を得なければいけません。

 

この許可は愛知県内の方であれば、愛知県(名古屋市、豊橋市、岡崎市、豊田市、一宮市の事業者さんは同市へ)へ申請をする必要があります。

 

施設の基準や事業主の能力に関する基準等かなり厳しい基準のもとに許可を受けることになります。これから自動車解体業を営む人、自動車の販売などを営んでいる人で実は解体業の許可が必要な業務を行っている人等はしっかりと確認して許可を受けなければいけません。

 

自動車解体業と破砕業

自動車解体業とは、使用済自動車又は解体自動車の解体を行う事業者をいい、自動車破砕業とは解体自動車の破砕・破砕前処理(圧縮等)を行う事業者を言います。

 

これだけでは、分からないので少し補足すると解体に際してはリサイクルが可能な部品等(エアバッグやタイヤ、バッテリー等)を分解し、取り出したうえで自動車メーカーや輸入業者などへ引渡し、市場に流通させる事業となります。

 

破砕業については、解体後の自動車を圧縮・せん断し鉄・アルミなどは可能な限りリサイクルし、シュレッダーダスト(自動車解体後に鉄等を取り除いた廃棄物)を自動車製造業者等に引き渡します。

 

手続きや作業自体が一連の流れで進むため、解体・破砕と一括りにされてしまいますが、事業・業務としては別のものになります。このページでは、自動車解体業について解説していきます。

 

自動車解体業の施設基準

先ほど、施設に関する基準があると書きましたが、これは事業所を管轄する役所(県・市等)によって若干異なります。 ここでは、愛知県の基準をベースにお伝えしたいと思います。

 

解体業の施設基準

① みだりに人が立ち入るのを防止することができる囲いが当該場所の周囲に設けられ、かつ、当該場所の範囲が明確であること。 (囲いの構造、材質等は問われませんが、容易に乗り越えたり、くぐり抜けたり、移動したりできないもので、かつ、倒壊しにくいもの。また、囲いの高さは原則として1.8m以上)

 

② 解体作業場以外の場所で廃油及び廃液が漏出するおそれのある使用済自動車を保管する場合は、その場所が以下の条件を満たしていること。ただし、保管前に廃油・廃液を回収することその他廃油及び廃液の漏出を防止するために必要な措置が講じられることが標準作業書の記載から明らかな場合は、この限りではありません。

(1) 廃油の地下浸透を防止するため、床面を鉄筋コンクリートで築造することその他これと同等以上の効果を有する措置が講じられていること。

(2) 廃油の事業所からの流出を防止するため、油水分離装置及びこれに接続している排水溝が設けられていること。

 

③解体作業場以外の場所で使用済自動車から廃油を回収する場合は、その場所が以下の条件を満たしていること。

(1) 廃油の地下浸透を防止するため、床面を鉄筋コンクリートで築造するか、それと同等以上の効果を有する措置が講じられていること。

(2) 廃油の事業所からの流出を防止するため、ためますその他これと同等以上の効果を有する装置(「ためます等」)及びこれに接続している排水溝が設けられていること。

 

④以下の条件を満たす解体作業場を有すること。

(1) 使用済自動車から廃油及び廃液を回収することができる装置を有すること。ただし、手作業により使用済自動車から廃油及び廃液が適切かつ確実に回収されることが標準作業書の記載から明らかな場合は、この限りでない。

(2) 廃油及び廃液の地下浸透を防止するため、床面を鉄筋コンクリートで築造することその他これと同等以上の効果を有する措置が講じられていること。

(3) 廃油の事業所からの流出を防止するため、油水分離装置及びこれに接続している排水溝が設けられていること。ただし、解体作業場の構造上廃油が事業所から流出するおそれが少なく、かつ、廃油の事業所からの流出を防止するために必要な措置が講じられることが標準作業書の記載から明らかな場合は、この限りでない。

(4) 雨水等による廃油及び廃液の事業所からの流出を防止するため、屋根、覆いその他床面に雨水等が かからないようにするための設備を有すること。ただし、当該設備の設置が著しく困難であり、かつ、雨水等による廃油及び廃液の事業所からの流出を防止するために十分な処理能力を有する油水分離装置を設けることその他の措置が講じられる場合は、この限りでない。

 

⑤解体作業場以外の場所で使用済自動車又は解体自動車から分離した部品のうち廃油及び廃液が漏出するおそれのあるものを保管する場合は、その場所が以下の条件を満たすものであること。ただし、保管に先立ち当該部品からの廃油及び廃液の漏出を防止するために必要な措置が講じられることが標準作業書の記載から明らかな場合は、この限りでない。

(1) 廃油及び廃液の地下浸透を防止するため、床面を鉄筋コンクリートで築造することその他これと同等以上の効果を有する措置が講じられていること。

(2) 雨水等による廃油及び廃液の事業所からの流出を防止するため、屋根、覆いその他当該部品に雨水等がかからないようにするための設備を有すること。

 

自動車解体業者の能力に関する基準

施設とは別に業として営むにあたって能力に関する基準が設けられています。

 

解体業の能力に関する基準

次に掲げる事項を記載した標準作業書を常備し、従事者に周知していること。

(1) 使用済自動車及び解体自動車の保管の方法

 

(2) 廃油及び廃液の回収、事業所からの流出の防止及び保管の方法

 

(3) 使用済自動車又は解体自動車の解体の方法(指定回収物品並びに鉛蓄電池、タイヤ、廃油、廃液及 び室内照明用の蛍光灯の回収の方法を含む。)

 

(4) 油水分離装置及びためます等の管理の方法(これらを設置する場合に限る。)

 

(5) 使用済自動車又は解体自動車の解体に伴って生じる廃棄物(解体自動車及び指定回収物品を除 く。)の処理の方法

 

(6) 使用済自動車又は解体自動車から分離した部品、材料その他の有用なものの保管の方法

 

(7) 使用済自動車及び解体自動車の運搬の方法

 

(8) 解体業の用に供する施設の保守点検の方法

 

(9) 火災予防上の措置

 

事業計画書又は収支見積書から判断して、解体業を継続できないことが明らかでないこと。

 

自動車解体業許可申請の必要書類

手続きに必要な書類ですが、以下が全てではありません。別途県や市から追加の書類を求められることがありますので、事前に確認が必要です。

 

①解体業を行おうとする事業所の施設の構造を明らかにする図面(平面図・立面図・断面図・構造図)、設計計算書、 付近の見取り図

 

②施設の所有権(又は使用権原)の証明書

 

③事業計画書

 

④収支見積書

 

⑤申請者が個人の場合には、住民票の写し

 

⑥申請者が法人の場合には、定款又は寄附行為及び登記事項証明書

 

⑦役員の住民票の写し

 

⑧発行済株式総数又は総出資額の100分の5以上を占める者の住民票の写し、株主が法人である場合には登記 事項証明書

 

⑨本支店の代表者や契約締結権限のある使用人の住民票の写し

 

⑩申請者が未成年者の場合には、法定代理人の住民票の写し、法定代理人が法人である場合は登記事項証明書

 

⑪法施行規則第 57 条の2に該当しないことの申立書

 

⑫欠格要件に該当しないことを誓約する誓約書

 

⑬標準作業書

 

⑭他法令確認状況票

 

自動車解体業許可の手数料等

自動車解体業許可を受けるには新規申請時と更新時(許可の有効期間は5年間)に手続きと申請手数料が必要となります。

それぞれの申請手数料は以下の通りです。

 

解体業新規申請時  78,000円

解体業更新申請時  70,000円

 

愛知県のHPに申請書類等のデータがありますので、ご活用ください。

 

弊所にご依頼頂く場合は、別途手数料を頂戴します。

 

解体業新規申請手数料  220,000円(税込み)

解体業更新申請手数料   88,000円(税込み)

 

自動車リサイクル法に基づくその他の許可や手続き

自動車リサイクル法に基づく登録や許可には本ページで解説した自動車解体業の他に【自動車破砕業許可】【引取業者の登録】【フロン類回収業者の登録】があります。

 

また自動車を解体した後は当然のことながら、永久抹消の手続きが必要です。

 

登録自動車の永久抹消

 

軽自動車の廃車手続き(解体返納・解体届出)

 

については、それぞれの該当ページをご参照ください。

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